レースの起源
レースの歴史は古く、古代エジプトの遺跡から一種のボビン・レースが
ボビンとともに発掘されており、日本では奈良時代に唐からもたらされ
たニードル・レースの一種が唐招提寺に所蔵されています。
レースのルーツ
起源は諸説あり、古くなった衣服を縫うときに布を糸でかがった部分が発
展して” レース ” になったというもの。もう一説には、織られた布の端が
ほどけないように「ふさ」を編む技術が発展したもの。また、魚を獲るた
めの結び目のある「網」がルーツだとも考えられています。
装飾を目的とする独立した形のレースが生まれたのは1540年頃とい
われています。
15世紀末から16世紀初めにかけては、ニードル・ポイントレースとボ
ビンレースが登場し、イタリアのベネチアではこの技法は確立されていき
ました。
17世紀のフランスでは、装飾過剰なバロックスタイルが生まれ、ルイ14
世を代表とする男性のレース着用が増えていきます。
貴族などの上流階級のみの贅沢品だったレースが、産業革命やフランス
革命の影響でレース産業はほぼ壊滅状態に至ったといいます。結果とし
て機械レースの発明を促し、1813年にはリバーレース機の原型が完成
しました。
1840年頃、イギリスのヴィクトリア女王のウェディングドレスとヴェー
ルにボビンレースが使われました。これは36人の職人が1年半かけて完
成させたと言われています。これをきっかけに機械レースを通して一般
女性たちにも広く浸透するようになり、レースは特権階級のものではな
くなりました。
国内のエンブロイダリーレースの発展
日本でも1920年代にレース機が輸入され、文明開化と共に洋装化が広
まり、刺繍レースの需要も高まっていきました。1938年にはドイツから
エンブロイダリー刺繍機が」輸入され、ほとんど輸入されていたレース
が、国産化の刺繍レース服地に移り変わっていきます。年々設備が増設
され、ケミカルレース等への需要の拡大へとむかっていきました。しか
し1973年(昭和48年)のオイルショックによる消費製造の変化と後進
国からの輸入の増大で、国内のレース生産は減少傾向になっていきま
す。
現在も石川県を主とする北陸地区および北関東地区を中心に、職人の高
い技術と知識が質の高いエンブロイダリーレースを生み出しています。